第3回 心豊に生きる集い

食 育

3歳までの食習慣がその後の健康を左右する

講 師:中西靜子氏 (金沢支所幹事・真味の会講師)
主 催:(社)人間性復活運動本部 金沢支所
日 時:平成16年9月26日(日)13:30〜15:30
場 所:長町研修館(金沢市長町2−2−43


 心というのは人間の持つ本来の己れなんですね、その心が今病んでいますので、目を覆いたくなる事件が続発しているのです。それは崩れてしまった食生活が80%原因していると言われております。私も、病の原因は食生活の乱れが80%であることを知りましてから、いいと思ったらそのいいと思った自分を信じて動く性格でございますので、この食生活について取り組んでおります。

色々の研究者の発表からしますと、今迄良いと言われて出廻ったものでも、悪食になったりすることがあります。だから専門家たちの発表も、あまり鵜呑みにしてはいられない。自分なりにきちんとした信じて行けるような勉強方法をもって、身体でもって正しさを証明するように食生活を正して行くに尽きるのではないか、とこのような信念を持って現在に至っております。

食育ということばを新聞紙上などで見るようになりました。来年から小学校の学科に取り入れられるような準備を進めているようですが、心配になるのは、良いものも悪いものも、そのまま子供達に入って行くということです。

初めこれは何を意味するのか、食によって育てるというのか、食について教育するのか、私は食によって心も体も育むものだと理解しておりますが、それが文部科学省の意向でもって、学校で教えていくということです。そうしますとやはり教育だなと思ったのです。でも早いうちから教え込んでいったならば必ずや、その子供達が社会に出るようになったならばその大勢の中から、何人かはそこから芽が出て動いて行けるのではないかと思っております。

副題に「3歳までの食習慣がその後の健康を左右する」としましたが3歳では遅いと思います。健全な身体に、穏やかな心を持ち、安らかな心を持ったご夫婦でなければできてくる子供に非常に影響します。子供がお腹の中にいるときから、お腹の中にいる前から、結婚したら当然子供ができるということを前提にしておかなければなりません。そうしますと両方共健康でなければならない。

妊娠中に好き嫌いが変わることを聞きますが、それも自然なことであり大事なことなんですけれども、子供を宿す身体作り、これがその娘さんの親御さんの責任なわけですね。

私が20歳のときに敗戦になりました。この時は国内どこに行っても食べ物はなく、食べるものならどんなものでも漁って食べた時期です。戦後負けたお陰でアメリカ軍の放出物資がどんどん供給されました。その一つに卵の黄身の粉末が缶に入ったのもありました。私は食べたことがないのですが、空襲で家を焼け出された人達や、学校の子供達に与えたということで、それが広がって行って学校給食に及んだわけです。学校給食も栄養失調になってしまっていた子供達、皆が美味しいと言って食べたんです。牛乳も粉末にして貯えていたもの、軍隊で食べるものを払い下げされた粉末牛乳でした。その当時はそれがあったから乗り越えられたわけです。

私は、食育に関しては母親が手塩にかけて作ってくれた、それも時期々々の物を与えてくれるものだと思います。秋も終りになるとキュウリとかナスはほとんど無いですよね。現代は品種が改良されて何時でもありますが、昔は夏の一斉に出来たときに貯蔵するのに漬け込むのです。塩が真っ白になるほど塩が邪魔で汁が出ないくらい、それ位にしないと酢っぱくなる。それを春まで食べるわけです。

 秋口に漬けた物でその忘れられない味が何品かある。その中でも特別なものが一品あるのです。その一品にどうしても必要なのがしその実なんです、赤でも青でもどちらでも良いのですが、昨日近所の方におねだりしましたら、畑から取って持って来て下さいました。キュウリの古漬け、みょうが、枝豆、しその実の四品が揃うと私の食べたいものが出来るのです。食べる時には全部塩抜きをします。昔はこれを酒粕で和えたのです、母親が和えてくれました。

これが漬けものではなくておかずになるんです、冬の間のおかず。今は大吟醸という粕で食べる直前に和えるのです。そういうものが私のこれからの食卓の上にのる一つなんです。それに枝豆のお萩、これも秋ならではのご馳走で、これを食べないと深まりゆく秋の感じがしないのです。

妹の所では秋のお彼岸には、小豆のおはぎと枝豆のおはぎを作らなかったら、秋のお彼岸でないというくらい、そこの家では定着しているんですね。一つの食に関しても、いろんな広がりを持って、また懐かしむというものが、私の心の中には四季折々あるわけです。それというのも母親が一生懸命、市販されているおかずなどは、食べるものではないと聞かされて育ちました。折々のものを食べさせてもらって心豊かになっていったのではないか。年中同じ物を、同じ味を食べるようなことはしなかったから有難いなと思っております。また、そのような時代だったのです。

食育に関しまして、日本の学校に取り入れていくことにつきまして、学校の教育というのは、体育・身体を育てる、知育・知識を教えられる、徳育・人の道を教える、この三つの柱が主だったようですが、あまりにも乱れきってしまった食事については、お母さんを改めるには、もう時すでに遅し。仕事を求めて子供より早く家をでる場合もあるようです。そうすると子供どころではないのです。帰って来てから作って、それを朝のものだといって作るのならまだいいんですが、作らずに帰りにコンビニで調達して来る。まだそれでも、朝御飯を食べるというのならまだましだという。子供達は食べないそうです。食べない子が多いそうです。夜遅くまで起きていてスナック菓子とジュースを寝るまで食べているようです。それで朝起きても食欲がないそうです。

私は6時半頃夕食を食べて寝るのが11時頃、その間には欲しくないから食べない。そうすると朝お腹が空いて御飯が食べたくて起きる、そういう習慣なんです。そして12時にはお昼を食べる、三食きちんと食べる、そういう身体に慣らされている。

朝食を食べないで学校に行っても、会社に行っても間に合わないそうです。頭がまわらないそうです、働くという意欲が出ないと言うのですかね。半分眠っている状態、そういうことから朝御飯は食べなければ駄目です。或る会社では朝食をちゃんと摂っていますか、ということが入社試験の条件になっていることを聞きました。

子供に家族で食事しているところを絵に書きなさいというと、ほとんどが一人でテーブルの上にお皿一つ置いている、いわゆる孤食の絵を書く子が多いそうです。それからテレビを点けたまま、そういうことで教育者のほうではびっくりしたようなデータが出ております。そのくらい孤食、一人で食べているということです。そうすると親子の絆どころか、一人で食べて嫌いなものは残し、食べたいものを食べたいだけ食べて、何の会話もなく、淋しく出て行くということが大方のようです。非常に食が惨めなんです。わびしいんです。人間は食べているときの表情が自然なんだそうですね。一日あった話をしながら食べるものなんだそうです。食によって心が開かれていくものです。

現在は、学校での給食が99%だそうですが問題があると思います。十人十色の体質を持っているのに、カロリー計算だけで決めた同じものを食べさせられる。

来年度、食育を機会に有効に活かすチャンスではないかと思う。市販されている野菜も、形、色、虫もつかないものにはそれだけの問題がある。私たちは、自然に順応した生き方をしていかないと体調を崩してしまいます。

生野菜は体に必要な塩分も自然に含まれている、理想的な物であると言われています。手を加えないでそのものの味を味わう、大自然の恵みでもあると言われています。しかし胃拡張になったり、冷え症の人は加減しなければなりません。

バランスのよい食生活というのは、三十種類の物を食べればいいというのではなく、十人十色の体質に合った食べ方をしていかなければなりません。

ここで食育に相応しいご家族が、私の近所に親しくしている方でおられますのでご紹介いたします。

『嶋と申します。中西さんから回覧板を届けて下さる順番になっているところから親しくなった間柄です。

私は百姓の生まれですが畑作業は好きではなかった。永年勤めていた会社を停年で辞めてから、近くの空き地を借りて菜っぱ作りをはじめた。そのうちに面白くなって別の畑も借りて、一年中の野菜作りに喜びを感ずるようになり、縁者に配ったり、ご近所の方々に食べてもらったりするようになった。ごく自然のままに出来る野菜は市場に出廻るよりは遅いが、みなさんに美味しいと喜ばれている。

妻は、大学の学生食堂に二十数年勤めていましたので、食事の方は結構手際よく上手に作ってくれます。二人で畑から帰って来ると十分位で、テーブルには三品〜四品のおかずが並ぶ。そして美味しい。結婚するからには料理の上手な奥さんをもらった方が一番だと進めたい。

私は77歳ですが、民生委員をはじめ地域の様々な役をさせて頂いている。おかげで一人ぐらしの方に野菜を持って近況を聞かせてもらいに行ったりしている。喜んでもらって元気が出て、又畑へ出掛けることが出来る。家の孫達もとれたてのトマトやとうきびを食べては「ぢいちゃんばあちゃんの作ってくれたのは実がしまっていて美味しい」といってくれる。小さな体ですが、元気でやれることに生き甲斐を感じています。

 ぢいさんばあさんの作ったもぎ立てのキウリでも、自家製のねり味噌をつけてかぶりつき、最初の一言が「ばあちゃんこれはうまい〃」て言うってね、喜んで食べてくれるんです。高校一年生の孫は特に味の判る子で喜んでおります。』

嶋さん一家は三世代同居ではないのですが、軒を並べてご両親の家と、息子さんご夫婦とお子さん三人の五人家族がとても仲よく住んでおられます。従いまして、穏やかで人間性豊かな人間関係を保ちながら、生活なさっておられるのが伝わって来ます。 体を病んでいるときは、薬餌となる食べ物を欲しているといわれます。 薬には副作用があることは専門家も認めています。 食事は薬餌として、正しく摂っていくように心掛けていきたいものです。乱れた食生活は、正に行くところまで行ってしまったと感じております。その結果、体も心も病んでいる若者たちの姿です。食育の基本は、生命を育む自然の恵みの食物が健康な体作りに繋がることから、バランスのよい楽しい食事の時間をきちんと決めて、揃って食卓に向かうこと。物言われない幼な児でも、体できちんと知っていくことになります。

他の教科を削ってもやらなければならない、それだけ深刻な問題になっていることは事実です。戦後急激に洋風化した食事、インスタント食品、ファーストフードの普及、輸入食材六十%急増による、食の変化などで極めて偏った食事をしている。その結果、健康を著しく害していることは事実です。若年から難病、落ちつきのない子供、やる気のない子供、キレる子、大人たち、心が重病になってしまっているのです。

物質文明に流されて失ってしまった、日本人にとって正しい食生活、おふくろの味を子供たち孫たちに、正しく伝えて行くのが私たちに託された務めではないでしょうか。

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